介護予防C型サービスにおけるJ-CHS構成要素別のフレイル改善パターン
—主観的項目と客観的項目の寄与度の比較—

Component-specific frailty improvement patterns in a short-term intensive care prevention program (Type C): Differential contributions of subjective versus objective J-CHS criteria

【目的】

介護予防・日常生活支援総合事業の通所型サービスC(短期集中型)は、フレイル高齢者の自立支援を目的とする3〜6ヶ月の短期集中プログラムである。フレイルの改善は報告されているが、改訂J-CHS基準の5構成要素のうちどの項目が優先的に改善するかは明らかでない。本研究は、J-CHS構成要素を主観的項目(体重減少・疲労感・運動習慣低下)客観的項目(握力低下・歩行速度低下)に分類し、C型サービスによるフレイル改善への寄与度の違いを検討した。

【方法】

対象は2022〜2025年にC型サービスを利用した地域在住高齢者75名(女性53名、男性22名、78.2±5.3歳)。初回・最終評価時に改訂J-CHS基準5項目を判定し、フレイル得点(0〜5点)を算出した。

分析手法補正・確認
構成要素別の改善McNemar正確検定Holm法で多重比較補正
寄与率の信頼区間ブートストラップ法(10,000回)
予測因子の同定重回帰分析(OLS)VIF, BP検定, Boot CI
身体機能の追加予測力階層的回帰+F検定TUG・5STS・2STEP
性別差Mann-Whitney U検定rank-biserial r

【結果】

全体のフレイル改善

フレイル得点: 1.28→0.77(変化量+0.51、Wilcoxon p<0.001、d=0.49)
改善37名(49.3%)、不変27名(36.0%)、悪化11名(14.7%)

構成要素別の改善(McNemar検定 + Holm補正)

J-CHS項目分類初回該当改善悪化ORHolm p
運動習慣低下主観28名(37%)18名(64%)2名9.00.002**
握力低下客観27名(36%)10名(37%)2名5.00.154 ns
疲労感主観18名(24%)10名(56%)4名2.50.539 ns
体重減少主観16名(21%)13名(81%)9名1.40.578 ns
歩行速度低下客観7名(9%)6名(86%)2名3.00.578 ns

主観 vs 客観の寄与度

主観的3項目の寄与: 68.4%(95%CI: 44.0–87.9%)
客観的2項目の寄与: 31.6%
最大寄与: 運動習慣低下 42.1%

性別による改善パターンの差異

女性(n=53)男性(n=22)p値
フレイル得点変化+0.68+0.090.034*
主観的項目変化+0.55−0.14
客観的項目変化+0.13+0.23
改善率54.7%36.4%

女性: 主観主導の改善 / 男性: 主観はむしろ悪化、客観のみ微改善(d=0.58, 中効果量)

重回帰分析(adj.R²=0.541)

予測因子beta95%CI (Boot)p
初回フレイル得点+0.52[+0.36, +0.68]<0.001
性別(女性で改善大)−0.56[−0.91, −0.21]0.003
BMI−0.06[−0.09, −0.02]0.003

身体機能指標(TUG・5回立ち座り・2ステップ値)は個別・一括いずれも追加予測力なし(F検定 全p>0.05)

【考察】

C型サービスによるフレイル改善の約7割は主観的構成要素、特に運動習慣の改善によるものであった。Romero-Ortuno et al.(2021)の大規模縦断研究では自然経過における運動習慣低下の回復率は35%であったが、本研究の介入後は64%と約2倍であり、短期集中プログラムが運動習慣の獲得に直接的効果を持つ可能性が示唆された。

客観的身体機能指標がフレイル改善の追加予測因子とならなかった点は、C型サービスの主要な効果が身体機能の向上よりも行動変容・自己効力感の改善にある可能性を示す。

女性で主観的項目の改善が顕著であった点は、グループ設定での運動プログラムへの親和性や社会参加効果の性差を反映している可能性がある。

限界: (1) 対照群のない前後比較デザイン、 (2) n=75と小規模(性別サブグループの検出力0.63)、 (3) 残差の正規性が厳密には非充足(ブートストラップで頑健性確認済み)

【結論】

介護予防C型サービスにおけるフレイル改善は、主観的J-CHS構成要素(特に運動習慣低下)の改善が主導しており、その効果は女性で顕著であった。客観的身体機能指標は追加予測力を持たず、C型サービスの効果評価においてはJ-CHS構成要素レベルの分析が重要である。

妥当性検証サマリー

検証項目結果判定
等分散性(BP検定)p=0.209OK
多重共線性(VIF)全て<1.1OK
残差独立性(DW)2.105OK
残差正規性(SW)p<0.001要注意→Boot確認済
影響点除外の頑健性adj.R2: 0.541→0.634OK(改善)
多重比較(Holm法)運動習慣のみ有意適用済み
ブートストラップCI全推定値と整合OK
重回帰の検出力1.000十分
McNemar(運動習慣)の検出力0.997十分
性別差の検出力0.627不十分→限界記載

Generated: 2026-03-28 / Claude Code /morning session
Data: n75.xlsm (J-CHS 5項目, 修正済み) / Scripts: v6, jchs_component_analysis.py, validation_check.py