フレイル得点 主観版 vs 客観版 比較分析 (v7)

目的: J-CHSフレイル基準の「体重減少」項目を主観(自己申告)と客観(実測体重差)で定義した2つの得点を比較し、定義の違いがフレイル判定に与える影響を検討する。

対象: C型事業参加者 75名

方法: 初回の体重減少は両版とも主観(入会前データなし)、最終の体重減少のみ主観/客観で変えた2版を比較

Step 1-2: 基本比較

初回フレイル得点(両版共通)
1.28 ± 1.18
中央値 1.0
最終得点 主観版
0.77 ± 0.91
変化量: -0.51 ± 1.04
最終得点 客観版
0.71 ± 0.80
変化量: -0.57 ± 1.03
Wilcoxon符号順位検定
p = 0.1797
最終得点の主観vs客観
主観版客観版
最終フレイル得点0.77 ± 0.910.71 ± 0.80
得点変化量-0.51 ± 1.04-0.57 ± 1.03
カテゴリ改善率36.0%37.3%
1項目以上減少率49.3%49.3%
主観版vs客観版の得点変化比較
Figure 1: 主観版 vs 客観版のフレイル得点比較

Step 3: 体重減少項目の乖離分析

主観-客観 一致
66名 (88.0%)
主観-客観 乖離
9名 (12.0%)
錯覚型 7名 / 無自覚型 2名

フレイル判定カテゴリが変わった人数: 3名 (4.0%)

乖離者の詳細

ID乖離タイプ体重変化主観版得点客観版得点判定
50 錯覚型 -1.0kg 2 1 同じ
77 錯覚型 2.0kg 1 0 異なる
78 無自覚型 3.8kg 0 1 異なる
39 錯覚型 -1.5kg 3 2 異なる
30 錯覚型 0.8kg 4 3 同じ
31 錯覚型 -2.5kg 2 1 同じ
117 無自覚型 3.2kg 1 2 同じ
82 錯覚型 -0.9kg 2 1 同じ
96 錯覚型 1.1kg 2 1 同じ
乖離がフレイル判定に与える影響
Figure 2: 体重減少の主観-客観乖離とフレイル得点変化量

Step 4: 乖離群 vs 一致群の比較

一致群 (n=66)乖離群 (n=9)
主観版変化量 -0.65 ± 0.97 0.56 ± 1.01
客観版変化量 -0.65 ± 0.97 0.00 ± 1.32

Step 5: 予測因子分析(重回帰)

目的変数: フレイル得点変化量 / 説明変数: 初回フレイル得点, 性別, BMI, 5回立ち座り, 2STEP値, 通所回数

主観版

調整R2 = 0.5319, F = 17.82, p = 0.0000

変数係数SEp値95%CI
初回フレイル得点 -0.529 0.080 0.0000 [-0.690, -0.369]
性別 0.555 0.188 0.0043 [0.180, 0.930]
BMI 0.054 0.019 0.0071 [0.015, 0.093]
5回立ち座り 0.004 0.019 0.8368 [-0.035, 0.043]
2STEP値 -1.529 0.559 0.0080 [-2.644, -0.413]
通所回数 0.025 0.032 0.4426 [-0.039, 0.088]

客観版

調整R2 = 0.5867, F = 22.01, p = 0.0000

変数係数SEp値95%CI
初回フレイル得点 -0.605 0.074 0.0000 [-0.754, -0.457]
性別 0.434 0.174 0.0149 [0.088, 0.781]
BMI 0.032 0.018 0.0766 [-0.004, 0.068]
5回立ち座り 0.002 0.018 0.9259 [-0.034, 0.038]
2STEP値 -0.976 0.518 0.0634 [-2.009, 0.056]
通所回数 0.029 0.029 0.3336 [-0.030, 0.087]

Step 6: J-CHS 5構成要素の改善パターン

項目主観版 改善率客観版 改善率
体重減少 13/16 (81.2%) 14/16 (87.5%) +6.2pp
疲労感 10/18 (55.6%) 10/18 (55.6%) +0.0pp
運動習慣 18/28 (64.3%) 18/28 (64.3%) +0.0pp
握力低下 10/27 (37.0%) 10/27 (37.0%) +0.0pp
歩行速度 6/7 (85.7%) 6/7 (85.7%) +0.0pp
5構成要素の改善率比較
Figure 3: J-CHS 5構成要素の改善率(初回該当者における改善率)

Step 7: 臨床的示唆

1. 主観-客観乖離の実態: 最終時点で9名(12.0%)に体重減少の主観-客観乖離が認められた。

2. フレイル得点への影響: 主観版 -0.51 vs 客観版 -0.57 (Wilcoxon p=0.1797)

3. 判定カテゴリへの影響: 3名(4.0%)でフレイル判定カテゴリが変化した。

4. 実践的提言: C型事業では定期的な客観的体重測定の実施が推奨される。主観的な体重減少の自覚のみではフレイル判定の精度にばらつきが生じる可能性がある。

分析日: 2026-03-28 / N=75 / 統計ソフト: Python (scipy, statsmodels)

初回の体重減少は両版とも主観値を使用(入会前の客観データが不在のため)

客観版の体重減少定義: 初回体重 - 最終体重 ≥ 2kg